休止したイッセイミヤケメンと服の価値観を変えてくれた思い出
今週のお題「暑すぎる」
先日衝撃的なニュースが発表された。
https://www.wwdjapan.com/articles/1103481
イッセイミヤケのメンズラインである『Issey Miyake Men』が終了するということだそうです。
ああなんと悲しいことでしょう😢
僕が女子高生なら一生ピエンって言ってますよ。笑
僕は今大学生なんですけど、僕の学生生活はイッセイミヤケに尽くしていたと言っても若干過言なくらい好きなブランドだったんですよね。
イッセイミヤケ全ブランド、新品も中古も合わせて総額100万行ったんじゃないかなと思うくらいは愛してました。
イッセイミヤケでのメンズラインの二枚看板は上の記事で紹介している『Homme Plisse Issey Miyake』と今書いている『Issey Miyake Men』の両ブランドでした。
他にもHaatやme などがあるのですがこれらは僕があまり触れていないので割愛します。
僕は別に服飾の専門学生でも、服に関して特別な知識があるわけではないので、至らないところは多々あるでしょうが、是非最後まで見ていただければという風に思っております。
イッセイミヤケメンに関していえば、僕は三宅先生がデザインしていた頃よりも直近でヘッドデザイナーを務めていた高橋悠介さんが好きで買っていました。
近年はアーカイブブームで三宅先生がデザインしていた初期のころのアイテムが非常に高騰していますが、そこではないので中古なら比較的求めやすい値段で購入することができていました。
話が少し逸れますが、アーカイブの作品の高騰具合は異常ですよね。まあいけてるデザインのものが高騰する理由はわかりますが、デザイン微妙でタグだけ古いみたいなのですら高騰していますよね。そんな現状を見ているとある種のバブル的な現象を感じます。最近はファッションアイテムも投資的購入される方も多いですが、そう言ったアイテムの選別には気をつけていただきたいですね。
話を戻しまして、近年のイッセイミヤケの話をしましょう。
僕がイッセイミヤケにハマって行った理由として、機能性の高さと日本の伝統技術の掛け算に感動したからです。
イッセイミヤケの代名詞的存在であるプリーツ、これだけが魅了じゃないんですよね。
僕はイッセイミヤケの魅力は染めだと思うんですよね。プリーツはイッセイミヤケメンだけでなく、オムプリッセでもその他のラインでも使用されています。
その中で、差別化を図れるところが僕は染めだと思っています。
染めというのは古来からある伝統技法の一つで、僕は染めるという技術はコンサバだと思っています。古来から紡がれたこの技術はある意味、アイテムごとに使い方や服ごとのセオリーというのが決まっている気がします。
でもイッセイミヤケメンの、高橋氏の作る染めのデザインはある意味革新的で、従来の立ち位置とは真逆のデザインだと思い、惚れ込んだんです。
色味はシックなんですけど、染めによった陰影が表現されていてデザインが平面的なのに立体的に見えます。ヨーロッパ由来のテーラリング、コートなんですが、随所に上野ギミックが感じられるところもイッセイミヤケらしさを感じられます。
僕はこのぱっと見普通なんですけど、よく見れば服にある違和感というものに魅了されました。
このコートはちょっと高すぎたので自分は買えなかったのですが、今でもメルカリなどの二次流通をパトロールしてるくらいの憧れを感じています。
続いてはこちらのルックです。Issey Miyake Menの17SSのシャツ。
このシーズンは僕が一番好きなシーズンの一つで、このシャツは僕も購入しました。定価はかなりしましたが、写真からでも見てわかるような手の込みよう。手捺染と呼ばれる技法を用いたシャツで着心地も非常によく、複雑な柄ながらもクリーンなイメージを彷彿とさせる芸術的なデザインとなっています。どこかドレッシーで、でも清涼感のある少年の面影を感じさせてくれるこのシャツは当時の僕の心を引き付けて離しませんでした。
他にも魅力的なデザインはたくさんありますが、ここで書きまくったら多分結構な量になるのでここで割愛させていただきます。これまでのルックなどが気になった方は是非下のサイトから見てください。これまでの変遷が集約されていますのでみなさんのお気に入りのルックを探してみてください!!
https://www.fashion-press.net/collections/brand/6
どうしてブランドが休止したのか
そんなイッセイミヤケメンはデザイナーを務めていた、高橋悠介氏の退任により急速に勢いがなくなって行った気がします。
彼の作り出す世界観とイッセイミヤケの作り上げていきたいブランドイメージがいい具合にマッチし、相補完的に昇華していけていたのだと思います。
なくなりつつある伝統工芸に着目し、それらの保管や服のサステナブルという文脈に重点をおいたブランドと、彼の遊び心溢れるデザインと全く新しい男性服のイメージがイッセイミヤケメンをブランドとして下支えしていたのだと思います。
この二つの内どちらか一つがなくなってしまうとすぐに崩れていくというイメージは薄々ありました。それが表面化していたのが、20SSでのコレクションの未発表という形で現れてしまいました。
店員さん曰く、オムプリッセをコレクション発表するためだったそうですが、僕には暗雲が立ち込めているような気がしていました。
オムプリッセの方が売れているからといってそんなすっぱりと発表を止めるのかという疑問はありました。そうしていると2020年1月デザイナーの高橋悠介氏が退任されるという発表がありました。
やはり、抜けた穴が大きかったというしかなかったのでしょう。
引き継ぎをデザインチームが担うということだったのですが、彼が作り出すようなビビット感がありながらも上品だったり、平面的でありながら、陰影をつけることで立体的な構築に見せるといった、以前のイッセイミヤケメンらしいデザインはあまりみられなくなってしまいました。
そこからおそらく売り上げはかなり低下したのでしょう。
みんなイッセイミヤケが好きというよりは高橋悠介氏が作り出す『イッセイミヤケメン』が好きだったんです。
高橋悠介氏は自分の事務所を立ち上げたそうなので、そちらでの活躍を僕は大いに期待しています。彼のクリエーションは大好きなので、いち早く何かプロダクトを作り上げていただけると服好きとしては非常にありがたいです。
退任されてからのイッセイミヤケメンは機能性やシルエットは以前から引き継がれたイッセイミヤケのDNA的なものを内包していたのですが、デザインやグラフィックがパッとしませんでした。なんというか「それオムプリッセでよくね?そっちの方がリーズナブルだし」って思ってしまうような差別化できていない商品が多かった気がします。
休止してしまうということは非常に残念ですが、今のイッセイミヤケメンではおそらく売り上げは見込めないでしょうし、休止してデザインチームを再編する方が賢明であると思います。
オムプリッセの方がおそらく利益率も高いでしょうし、人気も凄まじいですから、そちらに重点をおいた方がビジネスとしては正解なのでしょう。
ただ、イッセイミヤケメンの哲学とかそう言った部分はオムプリッセでは補うことができないと思います。その部分に共感し、購入をされている顧客もかなりいると思います。僕もその一人ですので、どう言った形であってもいち早く復活していただけることを期待しています。
イッセイミヤケは接客が大変素晴らしく、この店でこの店員さんから買いたいと思わせる素敵な方がたくさんいます。
丁寧な接客姿勢などは一朝一夕で作り上げられるものではないので、そう言った素晴らしい一面を大事にしてこれからもクリエイティブなものを創り上げて言って欲しいです。
直近は、コロナウイルスの影響を受けた、内定取り消し騒動など佳境に立たされているブランドですが、一つ一つの問題をこえ、より進化して行ってくれればいいなとは思っています。
これからもファンの一人として応援したいと思っていますし、新たなクリエーションにも大いに期待しています。
イッセイミヤケのサステナブルな考えが普及しつつある中、今後どのような進化を遂げていくのかすごく気になるところですので、みなさんも一緒にみて行ってもらえればこんな記事を書いた救いにもなると思います。
最後にこれまでの記事を複数載せておきますので暇があれば是非みてください。